「水の三部作 2」/アブラハム・クルズヴィエイガス The Water Trilogy 2/Abraham Cruzvillegas

銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中。癒されたい人は必見。

展覧会へ行ったのは、平日の夕方6時30分。慌ただしい銀座の通りから展示スペースへ入ると、そこは別世界でした。エレベーターを降りてすぐ、正面には吹き抜けの明るい空間に吊るされた日本の新聞と朝顔で作られたインスタレーション。別の部屋で流れるビデオを見るとわかるのですが、インスタレーションの朝顔が展示が始まった頃(4/21〜)はまだすごく小さい。毎日スタッフの方が『水』をあげているそうで、朝顔のツルは天井近くまで届き、花まで咲いています。

 

さてこの展覧会のタイトルは『水の三部作』。今年世界3カ所で開催される個展のうち、東京は第2章にあたるそう。水を意識して作品を見ると、クルズヴィエイガスがいろいろな角度で「水」に向き合っていることが伝わってきます。テーブルの上には水槽があり、水際の写真があり、壁に広がる水色があり。紙や木材など水と関わりのあるマテリアルも多く使われています。

The Water Trilogy 2_3

クルズヴィエイガスはメキシコ出身のアーティストで、ガブリエル・オロスコ主宰の『Taller de los Viernes(金曜のワークショップ)』(1987〜92年)に参加していたそう。スタッフの方のお話では、クルズヴィエイガスは作品についてあまり饒舌に語らないそう。「どうやって創ったか、は話せるけど、これが何か、どういう意味か、は見た人が考えれば良い」という姿勢だそうです。この姿勢はオロスコを彷彿とさせます。オロスコは「一番大切なのは美術館で何を見たかではなく、美術館を出た後に日常を違う角度から見ること」だと言っています。作品の意味は鑑賞者が自由に模索すればよく、その作品を通して自分達を取り巻く事象を違う視点で眺めること、が大切なのだ、と。日常的なマテリアルを使用するのは、そういう考えに基づいているのです。クルズヴィエイガスもマテリアルを現地で調達するそうで、なるほど展示作品には全て私たちの身近にあるモノが使われています。タイトルやマテリアル(とスタッフの方との会話)が理解を深める手助けをしますが、あとは鑑賞者の手に委ねられます。そして、作品にはメキシコ伝統音楽、ウーパールーパーなどが用いられ、彼のルーツをはっきりと感じることができるのです。

The Water Trilogy 2_5

水がどれほど人間にとって大切か。展示スペースを出て銀座の街の喧噪に飲まれた途端、自覚しました。クルズヴィエイガスの展示で、気がつかないうちにリラックスしていたのです。それは水だけではなく、水から派生する環境のおかげ、と言うべきでしょうか。クルズヴィエイガスの作品のうち、実際に水そのものが見えるのはウーパールーパーがいる小さな水槽だけ。それでも全てが水につながっていて、水がないのに水を感じる。さらにメキシコの優しい伝統音楽が流れている。癒された気分になるはずです。アートっていいな、と思わせる展示でした。


「水の三部作 2」アブラハム・クルズヴィエイガス展
銀座メゾンエルメス フォーラムにて
2017 年4月21 日(金)~7月2日(日)まで

 

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