ダゲレオタイプの女(監督:黒沢清)レビュー

フランスではLe Secret de la Chambre Noireの名前で公開されている、黒沢清監督作品のレビュー

パリ郊外。ジャンは気難しい写真家ステファンのアシスタントとして、働き始める。ステファンは19世紀に用いられていたダゲレオタイプという方法で写真の撮影をする。モデルは娘のマリー。非常に長い露光時間が必要なので、彼女は撮影中動かぬよう体を固定されたまま。父親の歪んだ愛情から抜け出せないでいる彼女はジャンと恋に落ち、植物園での仕事に応募し、採用が決まる。2人で生活をしようとする彼らを待ち受ける運命は?

黒沢監督以外は全てフランス人スタッフという今作。もちろん台詞もフランス語、役者もフランス人。場所もフランス。だけどやはり黒沢監督の味がするのが、なんとも不思議。日本公開用の字幕とオリジナルのシナリオを、比べてみたらおもしろいのでは。

La mort est une illusion. – Le secret de la chambre noire, Kiyoshi Kurosawa

黒沢監督の作品らしく、役者陣の演技も押さえ気味というか、シューレアルで「あの世的」な雰囲気が漂っています。ゆえに、どこからが現実で、どこからが非現実なのか、わかりづらいのです。生と死、仮想と現実の境界、というものが曖昧。さらに登場人物の1人の言葉、『La mort est une illusion. (死は幻想)』。生と死の境はどこにあるのか。作品全体を通して、この問いかけがされていると思います。

この作品は純粋なホラーではない、と思いますが、ある程度の怖さは散らばっています。怖さの原因は主にカメラワークにあるのではないでしょうか。冒頭、ジャンがアシスタントの仕事の面接へ行くところでは、かなり後まで彼の顔が映りません。人を後ろから追いかけるカメラ目線というのは、なぜか怖い。また途中でも、カメラがまるで意思を持っているかのように、第三者の目線で動くシーンがいくつもあります。まるで『シャイニング』のような恐怖感。

ダゲレオタイプという写真技術の都合上、マリーは長時間特殊な器具に拘束されるのですが、その場面にはフランスらしい濃艶さがにじみ出ています。設定上、いろいろと無理があるかも知れませんが、この作品を日本人の俳優で撮ったらどうなるか、観てみたい気がします。

 


 

作品名:Le secret de la chambre noire (邦題:ダゲレオタイプの女)
監督:黒沢清
出演者:Tahar Rahim, Constance Rousseau, Olivier Gourmet 他
製作:フランス、ベルギー、日本
製作年:2016
上映時間:131分

日本公式サイト

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