Bug report / Keita Mori

糸で壁に描かれた都市の「はかなさ」

Bug reportというシリーズのひとつである写真の作品は、知らずに遠目から見ると壁に鉛筆で描かれているのかと思うほど精巧。でも実際は、綿と絹の細い糸をのりで接着して描かれていて(ズーム写真参照)、異なる色/太さの糸が、構図に緩急をつけ、仮想空間に深みを与えています。建築的な無機質ともいえるデッサンと、綿、絹の糸という素材の暖かさのバランスも絶妙。下書きなどを含めさぞかし念のいった準備をするのだろうと思いきや、実はこの作品を制作する上で、壁に下書きなどは一切しなかったそうです。

keita-mori_3

Keita Mori, Bug report, fil de coton et fil de soie, colle / Bug report, 綿糸、絹糸、のり

建築や都市が出発点となるデッサン/絵画ではJulie Mehretuを思い浮かべますが、彼女の作品のように激しい色、複数のレイヤーやカオスといった要素はありません。むしろイタリアの未来派建築、またはArchizoomやSuperstudioを彷彿とさせるユートピックなデッサンは、ダイナミックに壁一面に広がるのに、なぜか繊細ではかなげ。ここに描かれている都市は、展示期間中のみ創られ、やがて消える仮想都市であるけれど、アーティストの手でまたどこかで蘇ることができる。それは災害のたびに崩壊しては復興する、日本の都市を思わせます。

平面デッサンも同時に展示があり、インストレーションとの興味深い違いを見せています。


<Bug report / Keita Mori>
ICONOSCOPE (モンペリエ)にて
2月4日まで開催
www.iconoscope.fr

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